テクノプロのメンバーがプロジェクトで活躍、海外進出への協働も期待

「明るい未来をやさしく照らす光=灯(ともしび)」という意味が込められた社名を持つ株式会社LIGHTz(ライツ)は、日本の先端知が集結する学術研究都市、つくば市で2016年に誕生しました。
同社は親会社株式会社O2が製造業向けに提供する技術・技能継承コンサルティングの知見をベースに、「スペシャリスト(熟達者)の思考のAI化」という手法を用いてその「知」を次世代につなぐテクノロジー『ORGENIUS®(オルジニアス)』を開発しています。
スペシャリストの知を次世代につなぐAI企業LIGHTzとテクノプロ・デザイン社とのアライアンスについて、代表取締役社長である乙部 信吾氏に伺いました。

―― LIGHTzは「スペシャリストの知を次世代につなぐ」ことを目指してAIソリューションを提供されているそうですが、実際にどういった形で実現するのでしょうか。

乙部氏 どんな世界でも、スペシャリストはビギナーにはない「特別な何か」を必ず持っています。例えば先輩のちょっとした言葉から解決の糸口が見つかった、という体験をした人も多いと思いますが、何を見て、何に気付き、何を考え、どの様に工夫した結果がその言葉なのか。多くの企業がスペシャリストの経験やノウハウ、勘といったものを蓄積し、社内に水平展開するかという課題を抱えているのではないでしょうか。

優れたスペシャリストでも、自分の経験や考えを平易な言葉やストーリーで人に伝えることに関してはあまり得意ではないというケースは多々あります。またビギナーもスペシャリストの頭の中を直接覗くことはできませんし、仮にできたとしてもその思考が自分の理解の範疇を超えていて何の参考にもならないかもしれません。そこで当社は、「スペシャリストの複雑な思考を整理し、誰もが理解できるようにできないか?」という命題を掲げて挑戦を続け、試行錯誤の末に独自に開発したヒアリング手法を駆使してその思考を『BrainModel®』として視覚化することに成功しました。

そして、この『BrainModel®』を自社のAI『ORGENIUS®』に組み込むことで、まるで優れた頭脳を持つスペシャリストと直接対話しているかのようにビギナーの思考を手助けすることが可能になったのです。このようにスペシャリストが持つ専属知や専門知を次世代にとって分かりやすく変換することを私たちは『凡知化®(はんちか)』と呼んでいます。

『BrainModel®』イメージ図

―― LIGHTzのAIは他と比べて何が違うのでしょうか。

乙部氏 LIGHTzのAIは「見えるAI」である点が一番の特徴です。

AIと聞くと「AI事業者の所有するAIで行う統計的処理」というイメージが強く、ユーザーにしてみると「注文して作ってもらうもの」というような印象がつきまといます。そのようなケースにおけるAIは、中身がまったく分からない「ブラックボックス」であると言えるでしょう。

これに対して当社のAIは、『ホワイトボックス型AI』と呼ばれるもので、結論に至るまでの分析方法や思考ロジックなど、すべての過程が説明できる「見えるAI」なんです。「何をどのように考えて、どこを変えたからこのようになった」というように根拠が明確に分かりますし、説明に使う言葉も難しいIT用語や統計用語ではなく、現場の方々が理解できる、日常業務で使用する言葉だけで構成されていることも大きな特徴です。

誤解しないでいただきたいのですが、当社の『ORGENIUS®』がホワイトボックス型だからといってブラックボックス型AIが不要だとか、劣っていると言いたい訳ではありません。例えば、工場における製品の不良判定などの場面ではディープラーニングを用いたブラックボックス型のAIが絶大な成果を発揮するはずです。

ただ、データを統計的に処理するアプローチだけでは、不良発生の原因まで究明して不良品そのものをなくすことはできません。そこで私たちは、不良が生じる原因や理由を解明して製品改良に役立てるためにスペシャリストの経験やノウハウをAIに置き換えようと試みた、つまり異なるアプローチを取ったということなのです。


株式会社LIGHTz 代表取締役社長 乙部 信吾氏

―― ウェブサイトの活用事例を拝見しましたが、「伝統工芸とAI」というのはなかなか見かけない組み合わせですね。

乙部氏 伝統とAI、一見相容れないように感じるかもしれません。しかし、学習能力を持ち膨大な情報を処理する度にアップデートを続けていくAIは、先代の技術に追いつき、超えていくことでその名を継承していく匠の技を再現する上でまさに最適なツールだと思っています。伝統工芸に限らず、そのほかの技術の世界においてもマニュアルの類でノウハウを継承しようとしても、それが完成した時点ですでに古くなってしまっているといったケースは多いでしょう。

日本を代表する伝統工芸の例として、例えば有田焼や南部鉄器などがありますが、これらの熟達者、スペシャリストの技術をAIで分析し、使われている鋳造・鍛造、セラミック焼成、焼結加工といった様々な技術の神髄を解き明かし、守り育てながら幅広い産業に活用することで地域の発展に貢献できればと考えています。

また伝統技術に加え、工業製品における素形材加工技術の分析を進めて樹脂成型・板金プレス・焼結・ガラス・鋳造・鍛造などの技術領域も併せて汎知化し、海外に展開することで『知の輸出』につなげていけたら素晴らしいと考え、その準備を進めている所です。

―― LIGHTzが目指す目標の実現に向け、どのようなスキルを持つ人材が必要でしょうか。

乙部氏 AIをソリューション手段とするコンサルティングの仕事ですので、最低限、総合的な知力とITスキルが求められます。ただ、必要条件となるのは知性であり、ITスキルは「あればベター」という程度ですね。

LIGHTzのコンサルティングではスペシャリストへのヒアリングを通じてお客様のあらゆる情報を最適な『BrainModel®』に落とし込み、『ORGENIUS®』に組み込むというステップを踏みますが、各工程でお客様の知見や感覚に合致しているかを確認しながら作業を進めることが大切であり、そのためにも総合的な知性が欠かせません。業務の中でデータハンドリング作業なども行いますので一定のITスキルは必要ですが、それは後から習得できますし、高度なプログラミングやAI実装については社内外の専門部隊に依頼できる体制を取っています。

―― アライアンスを通じてテクノプロのエンジニアを自社プロジェクトに受け入れていただいていますが、実際に感じたメリットや発見があればお聞かせください。

乙部氏 これまでに約30名のテクノプロ・デザイン社のエンジニアが当社のプロジェクトに参画してくれていますが、お客様である上場企業の役員の前で説得力のあるプレゼンテーションを行い、その信頼を得ているメンバーも多く、戦力として活躍してくれている点がまずメリットとして挙げられます。

また、最近まで当社の採用は経験者に絞ってきたのですが、テクノプロの新卒メンバーが急成長する様子を間近で見て、先ほど述べた総合的な知性のある方であれば必ずしも経験者にこだわる必要はないこと改めて実感することができました。そこで弊社も、今年から新卒を採用することにしたんです。

そのほか、テクノプロさんから紹介を受けたお客様からAIソリューションのご依頼をいただく事例も連携の早い段階から出てきており、想定していたシナジーが順調に発揮されて実績が残せていると感じています。

テクノプロさんのグループには多くの海外企業がありますので、今後の計画として先ほどお話しした『知の輸出』という面でも緊密に連携できるのではないかと大変楽しみにしています。

企業プロフィール

社名 株式会社LIGHTz
設立 2016年10月5日
事業内容
  • ・スペシャリスト思考のAI化と実務適用支援
  • ・次世代情報メディア開発
  • ・ロボットの社会適用モデル開発
コンセプト 新時代の“伝統のあり方”を創るAI企業
ウェブサイト https://lightz-inc.com/

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