CAEとAI機械学習で設計開発・生産プロセスを大幅に効率化
あらゆる製品開発シーンにおいて試作機をつくらずともシステム上でシミュレーションできるCAEツールが多く用いられています。ここで不可欠なのがパラメーター調整です。
しかし、計算機シミュレーターのパラメーター調整はその多くが属人化しており、実機検証との乖離やばらつきの発生だけではなく、作業に時間がかかるといった課題が生まれています。
テクノプロでは、これらの課題を解決するため、パラメーター調節期間の短縮とその非属人化を可能としました。また、製品性能と材料物性データをもとに、アンサンブル学習により因果関係を推定することにより、開発プロセスの効率化を支援しています。
AIアルゴリズムでパラメーターを最適化しCAEによるシミュレーションの精度を向上
要件分析~パラメーター最適化
CAEなどによるシミュレーション結果を、実機による検証の結果に近づけるためには、シミュレーターのパラメーター調整が欠かせません。一方で、トレードオフ関係となる要求性能の実現は非常に難しく、作業負荷が高いことから長い時間を要するケースが多くみられます。
テクノプロでは、実測値との乖離を最小化するためのシミュレーターのパラメーター調整を、AIアルゴリズムを用いて自動化。多目的最適化解の探索および知見の抽出を支援します。これにより、パラメーター調節期間の短縮と属人化の解消を実現します。本取り組みは、以下の流れで実施します。
- お客さまとのコミュニケーションを介して課題抽出と要件定義を実施
- 実機実験シミュレーターの入出力データおよびパラメーターの入出力データを受領
- 実機実験シミュレーターでの出力値を計算機シミュレーター上で再現するために、パラメーター最適化アルゴリズムを複数考案
- 受領データセットに対して、複数の最適化アルゴリズムを構築
- 分析評価として、最適化アルゴリズムによるパラメーター最適化結果と人の手によるパラメーター最適化とを比較
- 分析結果をもとに、現段階での作業報告と今後の方向付けを再度実施
アンサンブル学習により製品の性能や品質に影響する重要因子を特定
製造現場において、機械学習によるデータ分析により製品の材料配合や生産コスト管理などに影響を与える重要な要因を高精度にスクリーニングし、品質向上や効率化に役立てる手法が広く用いられるようになっています。
テクノプロは、製品に関するデータセットに対して、アンサンブル学習を用いて性能や品質に影響を与える工程やパラメーターなどを明確化。品質向上に寄与する因子を導き出し、開発・生産プロセスの効率化を実現します。
課題抽出~分析・調査報告
- 顧客とのコミュニケーションを介して課題抽出と要件定義
- 製品作成に使用した材料名や材料に関するデータを受領
- 受領データセットに対して、特徴量の選択/表記ゆれの修正/欠損値の処理などの前処理を実施
- アンサンブル学習を使用し、機械学習モデルを構築
- 構築した機械学習モデルに対して、予測精度の算出による評価を実施
- 学習済み機械学習モデルの各特徴量の重要度を可視化し、重要要因の調査を実施
- 分析結果をもとに、現段階での作業報告と今後の方向付けを再度報告
CAE×AI シミュレーションで用いるツール・技術
Python
Scikit Learn+matplotlib
RedMine
最適化アルゴリズム
CAE×AI シミュレーションに関するプロジェクト実績例
シミュレーターと実機のズレを改善し、作業期間の短縮と非属人化を実現
あるメーカーでは、自社製品開発~生産工程において、製品出荷前に計算機シミュレーターのパラメーター調整を行っていました。しかし、本調整作業は属人化している上、何週間ものスパンと作業コストがかかっていました。
そこで、テクノプロではシミュレーターの予測結果を活用したパラメーター調整アルゴリズムの開発を実施。調整期間の短縮だけではなく、誤差の改善率が従来の人の手によるものから向上するなど、精度を高めることができました。
自動車部品の性能向上の要因分析
ある自動車メーカーにおいて、「開発中の自動車に使用される部品の実用化に向け、製造プロセスの構築・運用のため部品性能と材料物性との関係性を明らかにしたい」というご要望がありました。
そこで、テクノプロでは開発中の部品に関する材料物性データを使用し、アンサンブル学習によって性能を予測。構築したモデルの特徴量重要度を分析することにより、精度向上に大きく寄与する因子を導き出すことに成功し、製造プロセスの大幅な改善に直結しました。