2020.11.27
【イベントレポート】エンジニアのためのミートアップ「半導体カタルシス LSI編」
#テクノプロ #半導体 #LSI #SoC #ASIC #ASIP #回路設計 #meetup #交流会 #エンジニア交流会 #FPGA
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2020.11.27
#テクノプロ #半導体 #LSI #SoC #ASIC #ASIP #回路設計 #meetup #交流会 #エンジニア交流会 #FPGA
ひとつのテーマに対し情報や意見交換をしていく中でエンジニア同士交流をすることを目的とした『Meetupイベント』
今回は「半導体」をテーマに開催致しました。
テクノプロ・デザイン社より半導体業界で長きに渡りキャリアを積んできた坂野・白石が登壇しご参加者と業界の歴史や未来、
具体的な技術内容まで語り合いました。
今回はそんなMeetupイベントにこっそり参加していたmidorinが当日のダイジェストをお届けいたします。
=経歴=
出身地 北海道登別市
■半導体メーカーにてLSI設計開発
主にキャッシュでスペンサー・自動改札機・航空券発券機・PCのCD-RAMドライブ などの製品に関わる。
■2000年10月 テクノプロ・デザイン社に入社
・自動車向け、エンジン制御・エアバッグ Etc マイコン設計開発
・ディスプレイ搭載回路基板設計開発、FPGA設計に従事。
仕様設計-詳細設計-試作-量産まで携わる。
また、現地中国人(上海)設計者指導、教育、アドバイザーまで様々なプロジェクトに関わる。
・2017年4月 CDA(キャリアデザインアドバイザー)着任
支店技術部組織構築補助、技術社員(エンジニア)のスキルアップ支援
趣味:サスペンス映画・ドラマを観ること
最近のマイブーム:ハバネロを栽培・収穫して
一味唐辛子を作ること
=経歴=
出身地 広島県呉市
論理合成技術が日本に導入された頃からLSI設計の効率化・自動化に携わる。
動画像伸張圧縮用LSIの開発を主に大規模SoCの開発にて人員管理と伴に、設計技術の高度化・設計の効率化を図る。
その後、LSIに係わらず、世の中にこれから出てくる新しい技術を知りたく登録調査機関に入社。先行技術調査を行う。
マンマシンインターフェースの領域を中心に幅広い分野の最先端技術に触れる。
2018年5月 テクノプロ・デザイン社に入社。
技術者の採用業務に携わるべく、これまでの設計経験・技術知識を活かして、電気・電子分野の応募者を中心に採用面接を実施中。
趣味:DIY
最近のマイブーム:古くなった家や電気製品やPCや自分自身の修繕。
現在採用部に所属している白石。
ご転職を考えている若手エンジニアから寄せられる声として「自分のやりたい業務に就けるのか?」というご質問を頂くことも多いんだとか。
複雑な設計や一筋縄ではいかないことも多い設計分野となるのでスキルを習得していきながらキャリアアップしていくことが大切。テクノプロ・デザイン社では、新卒やスキルの浅いエンジニアがいきなり設計工程をお願いすることはないが、少しづつスキルを身に着けていって将来的に一人前の設計者になれるような体制を整えている、と自社の事情について話をされました。
登壇者より、「エンジニア時代、高位合成やっていた時に感じていた思い」について話が及びました。
当時、色んな設計者のタイプがいたが、
ハードを意識した人が書く、高位合成の使い方が実現性が高くてよかったと思っていた、一方でハードを意識せずにソフト観点から(クロックの認識があるかも含めて)
高位合成を行うとちょっと使いにくかった印象があった、と当時の思いを話されていました。
半導体(LSI)業界で働くために必要なナレッジについて話が及びました。
「工程が多い業界でもあるので分業化は今後も進んでいくかもしれない。そんな中でソフト・ハード双方の知見があり、どちらの観点でも物事を捉えられるエンジニアが重宝される時代が来るのではないか。」と見解を示しました。
また「
視点を広く持っていることが大切ではあるが、ただ、すべての習得スキルが”浅く広く”では現場で苦労することも多いと思う。
一つの分野を深く追求した上で視野を広く持ち他のスキルも習得していくことが大切。」
とエンジニアとしての素養についても触れられました。
知識は広く持っていないと色々業務でつまずくこともあるよね・・・
と参加者・登壇者たちの経験談踏まえてお話頂いていたことが印象的でした。
坂野がエンジニア時代、回路設計/構図を考える時などは
人と人の会話だと考えて設計していくことを心掛けていたと言います。
情報を送信するブロックと受信するブロックがあるとすると
相手にどう伝えるのかが「信号」
それぞれのブロックを人に見立て
「この人はこういう信号を送らないと返信してくれないだろうな」
「この人はどう答えてくれるかな」
「こう返さないとこの人には伝わらないな」
など人と人がどういう会話をするのかをイメージしながらフローチャートやタイミングチャートを書いていたそうです。
回路と認識してしまうと各部品の機能が抜けてしまったり、抜け漏れが生じてしまうことがありますが、これを意識することで抜け漏れが減ったようです。
シンプルな設計にすることや、次の人にもわかるように丁寧に分解して残しておくことが大事など、それぞれが仕様書やモジュールに落とし込む際に意識していることなどの情報交換で盛り上がりました。
日本メーカーと海外メーカーのイメージについて登壇者・参加者で意見交換が交わされました。
日本メーカー | 海外メーカー |
---|---|
仕様のイメージだけを伝えてくる | 要求されたものをきっちりと作っていく (電話帳のような分厚い要求書が送られてくることも!) |
顧客とのコミュニケーションの中でゴールを固めていく | はじめから作るものが明確 |
日本メーカーはイメージから入ることが多く、コミュニケーションをとっていく中でゴールを固めていくこともある中で、海外メーカーは開発当初から作るものが明確になっていることが多いのだとか。
どちらがいい悪いではないが、メーカーの特色によってもエンジニアの立ち回り方や進め方は変わります。
初めから作るものが明確な海外メーカーの方が進めやすさはあるが、コミュニケーションを取りながらゴールを固めていく日本メーカーも、もっと良い選択があればそちらを優先させようという姿勢はこれまでの歴史の中で日本のモノづくりを成長させてきた要因なのかもしれない、と感じました。
半導体エンジニアとしての苦労話に話が及びました。
■引継ぎ 簡単にはできない
ここから後は宜しく~ということもできないので最後までやりきらないといけない。
■納期間近の仕様変更
機能追加するとウエハーのチップサイズも大きくなることもある。(特にメモリ)
チップサイズが大きくなってしまうとパッケージ関係も再設計となり、そうするとそれに載せる基板も変わる可能性がある…
→ひとつの仕様変更が全体に波及してしまうので調整が難しかった。
■一筋縄では動かないFPGA
昔、Verilog・RTLデコーディングをしツールを使って合成をし、FPGAを書き込むデータに置き換えて焼いて、スイッチオンしても動かない・・・
単純なロジックなものなのに何であんな動かないんだろう。
FPGAの中にあるタイミング解析ツールを駆使してMAX・MIN条件のタイミング設計をしてやっと動く・・・こんなに大変なんだ・・・って思った記憶が。
回路は特に時間に追われるんだなと実感した。
(時間の概念がないという意味では、ソフトウェアいいな・・・と思ったことも。)
エンジニア同士だからこそ「わかるわかる~!」といった共感が生まれていました。
半導体業界の大変さを語っている中でも、
皆さんどこか楽しそうで半導体業界への愛・大きなやりがいを感じているんだなと感じました。
昨今の世界情勢もあって今後の予測は難しい、と登壇者は口を揃えて語りました。
FPGA分野はこれから伸びていくのではないかということがニュースでも取り上げられていました。
特にAIやディープラーニングの世界、FPGAを使っていこうという分野においては今後の成長株ではないかという見解。
(ソフトウェアよりハードウェアの方が早いためソフト→ハード化が進み需要が出てくるのではというニュース記事を参照)
FPGAは書き換えができることが魅力であり、試しに作る試作タイミングではFPGA。量産はASIC。というイメージがある、とのことです。
最近はFPGAにCPUを詰み始めたのでFPGAは今後強くなっていくのでは…という意見もでました。
昔と違ってFPGAに搭載可能なメモリも増えて、規模数も昔とは全然違い、また、FPGAは最近超高速で動くようになっている、(ASICに引けを取らないくらいのスピードで動く)と話し、今回のミートアップを締めくくりました。
半導体業界においても技術革新は日々進んでおり、 特に今後世の中からの需要が拡大しそうなAi・ディープラーニングの分野における FPGAに関してはかなりの成長が見込めそう。