FPGA とは、Field Programmable Gate Arrayの文字通り、設計者がフィールド(現場)で論理回路の構成をプログラムできるゲート(論理回路)を集積したデバイスです。製造後は回路構成を変更できないLSI(集積回路)に対し、プログラムにより内部の回路構成、つまり処理内容を変更可能であることからこのように呼ばれます。
書き換えが可能なので、試作・変更バージョンアップに向いていると言われますが、反面FPGAはコスト高なので大量生産に向かないというデメリットもあります。
従来の製品開発では、「FPGAで試作、ロジックが固まったらLSI化する」のがパターンとなっていました。
ただ、急速な技術面の進化やアルゴリズムの変更への対応に柔軟に対応でき、処理速度の向上もみられ、製品へ導入する例も少なくありません。
今回は様々な分野、用途で用いられるモータ制御について、小型ユニットの新規開発依頼を事例に上げて紹介をしていきます。
今回のお客様はユニットとしての動作イメージは持っていましたが、外部に最適な実現解の提案を求めたいというニーズがありました。 我々には要件概要だけを提示頂き、それを基に要求分析、要件定義を実施するところから開発がスタートしました。 何度もお客様とレビューを重ね、基本設計に移行する段階で要件の総数は約500件程となります。
モータ制御、多電源制御、通信の高速化、ユニットの小型化が主な課題でした。
多電源及びユニットの小型化については、回路設計における経験を活かし、部品選定、配置、ノイズ低減などあらゆる面をケアしながら検討・設計を行いました。
モータ制御、通信については、双方向のデータのやり取りが頻発する為、CPUで実行した場合やり取りそのものが待ち状態になり、滞ってしまう可能性がありました。この課題に対してはFPGAを用いて主要処理を並列処理させることで解決しました。またFPGA化するメリットとして1つのデバイスで複数の処理を実行できる為、結果部品点数増加、実装面積、消費電力それぞれの抑制に成功しました。
ユニットの開発においては回路設計要素、Logic(FPGA)開発要素、組込み及びWindowsアプリ開発要素と大きく3つの分野の要素が有りましたが、それぞれをハードウェア開発センターの保有技術で対応できた為、お客様はテクノプロ1社との契約で済む為、お客様の管理オーバーヘッド工数の抑制に寄与しました。
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お客様に具体的な要求が固まっていない状態であっても、それらを分析し、お客様とともに要件をまとめ開発にステップアップさせることが出来ます。
またこのプロジェクトでは3分野を跨ぐワンストップ開発でしたが、回路設計をA社、Logic設計をB社、組込みソフトをC社という様に別々に発注・管理する必要なくテクノプロ1社で完結する事は、お客様の負担を軽減する事になります。お客様の負担が減れば、別の開発やプロジェクト起案をする余裕が生まれ、より多くの製品を世に送り出す契機になる可能性があります。
この案件に代表されるように、より高速に、より小さく、よりマルチにというニーズは留まるところがありません。FPGAの活用はそれらに一定の解を更にもたらしてくれます。
今後それらのニーズの高まりとFPGA活用が広がった先に、お客様のご要望をワンストップソリューションサービスとして、フルスクラッチで具現化した今回の事例のような、我々の長年の経験が活かせるプロジェクトがたくさんあると考えています。そういったプロジェクトに携わり「実はこの開発にテクノプロも関わっていました」とご紹介できる機会が1件でも増える様に頑張りたいと思います。
ハードウェア開発センター 技術営業 T.U
1997年に九州東海大学・工学部・電気工学科卒業後、テクノプロに入社。
派遣配属先での品質管理系ソフト開発、LSIレイアウト設計の経験を経て、2004年より開発センターに所属、2012年から組込みソフトチームマネージャとして請負チームでの課題解決に従事。
2020年7月から技術営業として、技術者目線でもう一歩進んだ営業提案を行なう。
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